リフォームの相談で多いのが、「この壁は抜けますか?」という内容です。
ただ、壁を抜けるかどうかは、図面だけを見てすぐに判断できるものではありません。まず大切なのは、今の家がどう建っているか、そして今どうなっているかを見ることです。
既存図面が残っていても、その通りに建っているとは限りません。建築後に増築や改築が行われていたり、過去のリフォームで壁や開口部が変わっていることもあります。
反対に、図面上は簡単に抜けそうに見えても、実際には柱、梁、筋かい、基礎、床組みに大きく関係している場合もあります。
そのため、壁を抜くリフォームでは、最初から計算だけで考えるのではなく、既存図面、増改築の有無、今の家の状態を見比べながら、建物全体の流れを見ることが大切です。
| 見るところ | 確認したい内容 |
|---|---|
| 既存図面 | 平面図、構造図、柱位置、筋かい位置、梁の方向、開口部、建築当時の考え方など |
| 増改築の有無 | 建築後に増築や改築がされていないか、確認済証、検査済証、過去の図面、現況写真などで見る |
| 現況 | 実際の壁、柱、開口部、天井、床、過去のリフォーム履歴、図面との違いなど |
| 天井裏・床下 | 梁のかかり方、床組み、基礎、土台、柱の位置、補強の有無など |
| 壁の役割 | 耐力壁か、間仕切り壁か、上下階でつながる壁か、建物のバランスに関係するか |
| 開口部 | どのくらい広げるのか、柱を残せるか、梁補強が必要か、周囲の壁との関係など |
図面はとても大切ですが、リフォームでは図面通りに建っているとは限りません。
増築されていたり、壁がすでに抜かれていたり、現場で納まりが変わっていることもあります。壁を抜く前には、まず今の家の状態を見ることが大切です。
築年数が経っている家では、建築当時の図面と今の状態が違っていることがあります。特に、増築、減築、間取り変更、開口部の追加、壁の撤去などが行われている場合は、元の構造の考え方と変わっていることがあります。
大工の見地で見ると、壁は単なる板や間仕切りではありません。柱がどこに立っているか、梁がどこへかかっているか、床や基礎とどうつながっているかを見る必要があります。
特に壁を抜く場合は、その壁だけを見るのではなく、上からの荷重をどこで受けているのか、横からの力にどの壁が効いているのか、周囲の柱や梁で無理なく受けられるのかを見ていきます。
| 確認方法 | 分かること |
|---|---|
| 図面を見る | 設計時の柱、壁、筋かい、開口部、構造の考え方が分かる |
| 増改築の履歴を見る | 建築後に建物の形や構造が変わっていないかが分かる |
| 現況を見る | 実際に今どうなっているか、図面と違っていないかが分かる |
| 天井裏・床下を見る | 梁、柱、土台、基礎、床組みのつながりが見えてくる |
構造計算は大切ですが、リフォームでは計算の前提になる現況確認がとても重要です。
図面、増改築の有無、今の家の状態を見たうえで計算を行うことで、現実に近い判断がしやすくなります。
壁を抜くリフォームでは、「抜けるか、抜けないか」だけで考えない方がよいです。
まず今の家を見て、過去に増改築がないかを確認し、図面と照らし合わせて、どこで力を受けているかを見る。そのうえで、必要な補強や計算を考える。大工の感覚と構造の確認は、どちらか一方ではなく、両方を見ることが大切です。
壁を抜きたい、開口部を広げたい、間取りを変えたいという場合は、図面だけで判断せず、今の家の状態を見ながら進めることが大切です。
既存図面、増改築の有無、現況写真があれば、どこを見るべきか、どの部分に注意が必要かを一つずつ確認しやすくなります。