【プロが本音で解説】マイホームデザイナーで作った間取りは本当に建てられるのか?

2026年02月19日 14:39




間取りソフト初心者がつまずく“ジョイント(つなぎ目)”問題を施主目線で整理



最近、マイホームデザイナーなどの間取りソフトを使って、自分で間取りを作る方が本当に増えています。

家づくりを「任せる」から「理解して進める」へ変わってきているのは、とても良い流れです。



ただ、現場の立場から正直に言うと――

そのまま建てられる間取りは、実はかなり少ないというのが現実です。



施主としてまず知りたいのは、ここだと思います。



・自分で作った間取りは、どこが原因で“建てられない”と言われるのか?

・間取りソフトで「しっくりこない」「収まらない」の正体は何か?

・どう使えば、工務店や設計者との打合せで“役に立つ図面”になるのか?



この記事では、大工としての施工経験と建築士としての実務目線で、**「なぜそのまま建たないのか」**を施主が理解で

きる形で整理します。




なぜ今、間取りソフトで家を考える人が増えたのか




理由はシンプルです。


無料や体験版で気軽に触れ、3Dでイメージもしやすい。

ハウスメーカー任せに不安があり、家族とも相談しやすい。



間取りを考える段階で「生活を想像する」こと自体は、家づくりの精度を上げる大事な一歩です。

問題はここから先にあります。




そのまま建たない最大の理由は「部屋」ではなく「つなぎ目」にある




多くの初心者は、各部屋の目的は理解しています。

LDKは家族が集まる場所。水回りは生活に必要。階段は上下移動。



だから「部屋」は作れます。


それでも行き詰まるのは、部屋と部屋をつなぐ“ジョイント部分”をソフトが教えてくれないからです。



間取りソフトは、部屋を配置して“形”を作るのは得意です。

しかし現場では、次のような「つなぎ目」が成立して初めて“建てられる間取り”になります。



通る(動線)

開く(建具の干渉)

逃げる(避難・回遊・行き止まり)

通す(配管・梁・耐力の流れ)



ここが曖昧だと、部屋単体は良くても全体がまとまりません。

「しっくりこない」「はめ込みがうまくいかない」の正体は、ほとんどがここです。




現場ではこう見えている(職人側、設計側の見方)




1)LDK:広くしたのに落ち着かない/家具が浮く


ソフト上では広いLDKが作れて、家具も置けて“完成”に見えます。



なぜ起きるか:LDKは“部屋”であると同時に、水回り・階段・玄関へ抜ける“通過点”でもあります。ところが初心者はLDK

を「一室」として固めてしまい、ジョイント(抜け)が曖昧になります。結果、通路が居場所を横切ったり、家具の前が

動線になったりして落ち着かなくなります。



どう解決するか:LDKは「広さ」より先に、どこを通り、どこで止まるかを決めます。通過するラインが見えると、ソフ

ァやダイニングが自然に収まり、空間がまとまります。






2)水回り:配置は便利なのに間取り全体がバラつく



洗面・浴室・トイレを“便利な場所”に置くと、各室単体では良さそうに見えます。



なぜ起きるか:水回りは配管でつながり、点検や勾配の制約があります。ソフトはこれを強く制限しないので、ジョイン

トが長くなりがちです。結果、廊下が伸び、家全体が分断されます。



どう解決するか:水回りは「部屋を置く」より、つながり(配管と動線)をまとめる発想が先です。縦ライン(1階と2階

の関係)も意識すると、後で大きな変更が出にくくなります。





3)階段:最後に入れると全部崩れる


最後に階段を入れた瞬間、部屋が削れ、動線が破綻することが多いです。



なぜ起きるか:階段はただの通路ではなく、1階と2階をつなぐ最大のジョイントです。階段の周りは耐力壁・梁・吹抜け

と同等の影響が出ることもあり、「残ったスペースに入れる」発想だと成立しません。




どう解決するか:階段は“最後の部品”ではなく、最初に流れを決める装置として扱う。階段が決まると、1階の抜け方と2

階の廊下が整い、全体が崩れにくくなります。





4)トイレ:置けるのに使いにくい/音や気配が気になる



トイレは1畳程度で置けるので、初心者ほど「空いたところに入れる」ことが多い。



なぜ起きるか:トイレはサイズより、前室・扉の開き・近接する部屋とのジョイント(気配・音・来客動線)が効きま

す。置けても“使いにくい”が起きるのは、ここを見ていないからです。



どう解決するか:トイレは「面積」ではなく、誰がどの流れで使うかで位置を決める。ジョイント(出入口の向き・視

線・近接する部屋)を整理すると、違和感が消えます。





プロが最初に見るポイント(施主が押さえるべき順番)




ここで言いたいのは、「専門家のチェック項目を覚えろ」ではありません。

施主がソフトを使うときに、どこでつまずくかを先に知っておくことです。



プロが最初に見るのは、結局こうです。



・力の流れ(壁がただの仕切りではない)

・配管の流れ(水回りの縦ライン)

・動線の流れ(階段がジョイントの中心)



そして、初心者が最後に気づくのが、まさに「ジョイント」です。




まとめ:間取りソフトは“完成図”ではなく“打合せを強くする道具”




間取りソフトがそのまま建たないのは、ソフトが悪いわけでも、施主のセンスが悪いわけでもありません。

部屋の知識は十分あるのに、**部屋と部屋のつなぎ目(ジョイント)**が未設計な状態で“完成”に見えてしまう。これが

正体です。



だから、間取りソフトは意味がないのではなく、むしろ使った方がいい。

ただし目的を間違えないこと。



間取りソフトは、



家族でイメージを共有する道具

・希望を整理する道具

・プロへ伝えるための資料


として非常に優秀です。



そして「これ、本当に建てられるのかな?」と感じたら、それは正しい感覚です。

家づくりが一段階深くなったサインです。




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