25㎡のワンルームが「暮らしやすい」と言われる理由── 人の動きでつくる住まいの話

2025年11月15日 23:56




近年、25㎡前後の単身者向けアパートでも、

「暮らし心地の良い部屋」を求める声が増えています。

広さは変わらないのに、住みやすさに差が出るのはなぜか。



それは、

“数字ではなく、暮らす人の動き” を基準にして設計しているかどうか。



この視点ひとつで、

同じ25㎡がまったく別の空間になります。



今回は、現場で何度も検証してきた経験から、

“狭さの限界を決めるのは面積ではない” という話を

できるだけやわらかく、分かりやすくお伝えします。





あなたの物件選びや計画の参考になれば幸いです。

■ 25㎡に起きる「小さなストレス」は意外と共通している




25㎡と聞くと、「狭いな」「工夫が必要だな」と感じます。

しかし実際に生活を見ていると、

“狭さ”よりも先に見えてくるものがあります。



それは、

  ・洗濯物の置き場がなくて動線が止まる

  ・玄関に物が溜まり、毎朝ものをまたぐ

  ・バッグやコード類に“戻す場所”がない

  ・ベッドまわりが物置き場になってしまう


こうした “生活の滞り” が、面積よりも暮らしに影響します。


広さが問題なのではなく、

人の動きが止まる場所が存在すること。



だから私はまず、

「どこで滞るのか」

「どこを通りやすくするか」

そこを一番に見ます。



■ ドライルームが1.5帖でも成り立つ理由




― 洗濯という“毎日の負担”を軽くする場所


ワンルームで最も生活が乱れるのは、

実は 洗濯物 です。


部屋の中央に干すだけで、

  ・通れない

  ・光が遮られる

  ・湿気がこもる


これだけで生活のリズムが崩れます。


だから、私は25㎡でも

1.5帖の小さなドライルーム をつくります。


大きく見えるかもしれませんが、

洗濯動線がひと続きになるだけで

部屋全体の表情が変わります。



空間の広さは変わらないのに、

人の動きが軽くなる。


住む人が一番驚くのは、

「部屋干ししているのに部屋が散らからない」

という事実です。



■ SIC(シューズインクローク)が“玄関の余白”をつくる




ワンルームの玄関は、

想像以上に“物が集まる場所”です。


靴、傘、エコバッグ、掃除機、スーツケース。

置く場所が決まっていないと、玄関は簡単に崩れます。


そこで役に立つのが

小さなSIC(シューズインクローク)。


0.7~1.0帖でも、

人の動きは驚くほど滑らかになります。


玄関を「ただ通る場所」に戻すだけで、

暮らし全体に余白が生まれます。


ここでお伝えしたいのは、

SICを“豪華な収納”と考えるのではなく、


生活の滞りを減らすための場所

という視点です。



■ 平面ではなく、立体で暮らしを整える




最近の住宅研究でも、

「床面積より立体の使われ方が暮らしの満足度を左右する」

というデータがあります。



実際、25㎡でも

  ・ロフトを“寝るだけの場所”にする

  ・立体収納で“戻す場所”を決める

  ・通路を極力まっすぐにする



これだけで、

同じ面積とは思えない暮らしやすさになります。



25㎡でも狭くならない理由は、

設備を詰め込んでいるからではありません。



動きが止まらないように整えているから。

ここが、本当の設計の軸です。



■ 「詰め込む」のではない




“不便を先に取り除く”という設計思想


私は現場で多く見てきましたが、

狭小空間の失敗は、


   ・部屋の広さ

   ・設備の豪華さ

   ・見た目のデザイン


これらが原因ではありません。



不便を残したまま進めてしまうこと。


生活の中の “小さな滞り” は、

積み重なると大きなストレスになります。


逆に言えば、

不便を静かに無くしていくだけで

住まいは自然と整っていく。



ドライルームも、SICも、ロフトも、

“豪華設備”ではなく、

生活の流れを守るためのピースなのです。



■ おわりに:




25㎡の限界は、面積では決まりません


25㎡という数字には、

どうしても“狭い”というイメージがつきまといます。



でも、本当の暮らしやすさは

数字ではなく、

   ・動きが止まらない

   ・物の居場所が決まっている

   ・部屋が呼吸している

   ・自分のリズムが乱れない


この4つで決まります。



ドライルームやSICは、

「贅沢な設備」ではなく

暮らしのリズムを守る装置 です。



25㎡でも、

人が自然と動ける住まいは、

驚くほど心地よくなります。


あなたの住まい選びや計画が、

小さなストレスから解放された、

やわらかい暮らしにつながることを願っています。


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