中古住宅を民泊から旅館業へ用途変更したい――いま増えている相談です。
しかし現場では「旅館業に変えたのに収益が出ない」というケースが驚くほど多い。失敗の理由は「予算」ではありません。行政・消防・構造の3つを同時にチェックしていないことです。
旅館業×用途変更の判断基準は、自分だけで想像して決められるものではありません。現場の状態と法律の条件を“同時に”見る必要があります。
(→旅館業×用途変更の手続きの基礎は、こちらの紹介ページでもまとめています:
https://www.daikukoubou.com/p/21/ )
用途変更は「書類を出して終わり」ではありません。
これらが旅館業仕様に合っているかが審査の本丸です。中古住宅は、築年数も増改築履歴もバラバラ。行政基準は“個別に”照合する必要があります。
旅館業にした瞬間、消防設備は別世界に変わります。
この追加工事が見積りを一気に跳ね上げます。「旅館業は消防で赤字になる」ことを知らずに開始して失敗するパターンは非常に多い。
これが最も危険です。
旅館業は、人を泊める商売です。「居住」は自己責任の幅がありますが「旅館業」は他人を預かります。構造判断を後回しにした物件は、施工補強が後戻りになり工期も費用も2倍近くになります。
旅館業に向かない中古住宅は山ほどあります。だからこそ行政×消防×構造、これ3つを“開始前”に同時に見ないと判断ミスが起きます。
私は 一級建築士/不動産鑑定士補/土地家屋調査士/施工大工 の視点で、収益性と手続き適合性を同時に精査します。それが現場で必要な現実だからです。
この1記事はゴールではなく“入口”です。旅館業用途にすべきかどうかは、最初の判断で決まります。
大工のおっちゃん工房