「民泊から旅館業への転換」で失敗する3つの行政・消防・構造の盲点

2025年11月09日 14:14
カテゴリ: 最新情報
(HP公式|大工のおっちゃん工房 一級建築士)

「民泊から旅館業への転換」で失敗する3つの行政・消防・構造の盲点

中古住宅を民泊から旅館業へ用途変更したい――いま増えている相談です。

しかし現場では「旅館業に変えたのに収益が出ない」というケースが驚くほど多い。失敗の理由は「予算」ではありません。行政・消防・構造の3つを同時にチェックしていないことです。

旅館業×用途変更の判断基準は、自分だけで想像して決められるものではありません。現場の状態と法律の条件を“同時に”見る必要があります。
(→旅館業×用途変更の手続きの基礎は、こちらの紹介ページでもまとめています: https://www.daikukoubou.com/p/21/

盲点1:行政手続きは「旅館業の形」に実際が合っているか

用途変更は「書類を出して終わり」ではありません。

  • 避難経路の幅
  • 階段寸法
  • 衛生設備(便器・洗面・浴室)の数量
  • 旅館用途としての有効面積

これらが旅館業仕様に合っているかが審査の本丸です。中古住宅は、築年数も増改築履歴もバラバラ。行政基準は“個別に”照合する必要があります。

盲点2:消防設備は「コスト爆弾」になり得る

旅館業にした瞬間、消防設備は別世界に変わります。

  • 誘導灯設置義務
  • 火災感知器の系統変更
  • 受信機増設
  • 撤去できない既存配線

この追加工事が見積りを一気に跳ね上げます。「旅館業は消防で赤字になる」ことを知らずに開始して失敗するパターンは非常に多い。

盲点3:構造体の安全確認が一番後回しにされる

これが最も危険です。

  • 土台腐食
  • 基礎の曲げひび割れ
  • 柱の痩せ
  • 増築履歴の不明箇所

旅館業は、人を泊める商売です。「居住」は自己責任の幅がありますが「旅館業」は他人を預かります。構造判断を後回しにした物件は、施工補強が後戻りになり工期も費用も2倍近くになります。

旅館業×用途変更の収益を左右するのは「最初の判断」

旅館業に向かない中古住宅は山ほどあります。だからこそ行政×消防×構造、これ3つを“開始前”に同時に見ないと判断ミスが起きます。

私は 一級建築士/不動産鑑定士補/土地家屋調査士/施工大工 の視点で、収益性と手続き適合性を同時に精査します。それが現場で必要な現実だからです。

この1記事はゴールではなく“入口”です。旅館業用途にすべきかどうかは、最初の判断で決まります。






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