最近は、古民家や中古住宅をリノベーションして「民泊」として使う人が増えています。
けれども、短期的な収益だけを考えるのではなく、長く安定して事業を続けるなら 旅館業への用途変更 を考えておく必要
があります。
民泊と旅館業。名前は似ていますが、法律上の扱いは大きく異なります。旅館業として許可を取ることで、安全性や信頼
性がぐんと高まり、利用者にとっても安心できる施設になります。
旅館業の許可を得るためには、いくつかの条件をクリアしなければなりません。
たとえば避難経路や防火の対策、トイレや洗面の数、衛生面での設備など。住宅としての基準だけでは足りず、「宿泊施
設」としての安全性を整える必要があります。
「難しそう…」と思うかもしれませんが、これは裏を返せば「利用者にとって安心して泊まれる空間をつくるための基
準」なのです。
旅館業に変える場合、最も大切なのは 耐震性 です。
不特定多数の人が泊まる建物だからこそ、地震で倒壊してはいけません。
古民家や築年数が経った住宅は、耐震診断をすると弱点が見つかることがよくあります。壁の量が足りなかったり、基礎
にひびが入っていたり、柱が金物でしっかり固定されていなかったり。
これらを放置したまま宿泊施設にしてしまえば、利用者の命を危険にさらすことになります。
逆に、診断を行って補強をすれば「安全性が確認された建物」として大きな安心感を提供できます。
「できるだけ安く済ませたい」という気持ちは誰にでもあります。
しかし、用途変更や耐震補強は「必要な部分にしっかりお金をかける」ことが何より大切です。
無理にコストを削ってしまうと、安全性や快適性が犠牲になります。最初は出費を抑えられても、後から不具合やトラブ
ルが出れば、結果的に余計なコストがかかってしまいます。
一方で、初めに必要な診断と補強にしっかり投資すれば、長期的に見れば安定した経営が可能になります。
「また泊まりたい」と思ってもらえる施設にするには、安心と快適さが欠かせません。
民泊から旅館業にステップアップすることは、単に「規模を大きくする」という話ではありません。
「この建物を何十年も使い続けられるように整える」という、未来への投資です。
10年、20年と続けられる宿泊施設を目指すなら、最初にきちんとした診断と設計を行い、必要な補強や設備を整えておく
ことが欠かせません。
「今だけ」ではなく「これから」を見据えた計画こそが、事業を長続きさせる鍵になります。
民泊として運営していた建物を旅館業に変えるには、用途変更や耐震診断など専門的な手続きが必要です。
それは一見手間に感じますが、実は利用者の安心を守り、経営を安定させるための大切なプロセスです。
適切な時期に、適切な予算をかける。
それが結果的に、長期の展望を持つ施設づくりにつながります。
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