家づくりを考えるとき、「大手のハウスメーカーなら安心かな」と考える方は多いと思います。
でも、建築業界に携わってきた私の経験から言わせてもらうと──
安心の決め手は「会社名」ではなく「誰が建てたか」です。
実際にこれまで多くのお客様の家づくりをサポートしてきた中で、「この施工なら信頼して契約して大丈夫」と判断できる場面が何度もありました。今回はその経験をもとに、「完成度」と「価格」の関係について、少し踏み込んだお話をしたいと思います。
以前、家づくりに悩まれていた方に、ある大手ハウスメーカーの施工現場を見てもらう機会がありました。
その時に入っていたのは、注文住宅を専門に手がけている選抜の工事班。仕上がりは非常に丁寧で、断熱材の入れ方から細部の納まりまで、私自身も「これは素晴らしい」と感じるレベルでした。
その方に「この職人さんの現場を見るといいですよ」とお伝えし、実際に見学していただいたところ、「ここまで丁寧に作っているなら信頼できる」と納得され、後日そのハウスメーカーで契約。
数年後、「あのとき見て本当に良かった。今も満足して暮らしています」とご報告をいただきました。
ただ、その一方で「価格が高い」と感じる方も少なくありません。
大手ハウスメーカーでは、実際の施工は地元の協力業者(いわゆる“工事班”)が持ち回りで担当することが多く、誰が現場に入るかによって、仕上がりに差が出るのが実情です。
そして価格には以下のような“家以外のコスト”も含まれています。
・モデルハウスの維持費
・広告・CMなどの宣伝費
・全国に配置された営業人員の人件費
これらが積み重なって、同じ30坪の家でも、総額で数百万円の差になることがあります。
逆に、あるご相談者の方は地元の工務店の完成見学会を見に行って、「この仕上がりなら安心して頼める」と感じて契約されました。
その工務店は、最初から最後まで同じ職人さんが責任を持って施工するスタイルで、打ち合わせで決めた細かな造作や仕上げもしっかり反映されていました。
結果として、大手の半分ほどの人員規模であっても、とても満足度の高い家づくりができていたのです。
私がたくさんの現場を見てきて、そしてたくさんの相談を受けて思うのは──
家づくりで一番大事なのは「完成した家を、自分の目で見て判断すること」。
どこの会社か、有名かどうか、営業が丁寧かどうかももちろん大事ですが、最終的にそこに住むのはご自身です。
だからこそ、施工の完成度や現場の雰囲気を「実際に見て感じる」ことが、何より確かな判断材料になると感じています。
家づくりは一生に何度もない大きな決断です。
同じ価格帯でも、性能や見た目、暮らしやすさは施工する人によって変わります。
もし今、ハウスメーカーと工務店で迷っているなら、まずは“完成した家を見て判断する”という視点を持ってみてください。
それだけで、納得できる選択肢がきっと見えてくるはずです。