当社では、これまで数多くの中古住宅のリフォームや改修に携わってきました。
その中には、ちょっと立ち止まって考えさせられるような依頼もあります。
ある日、とある不動産仲介会社の方から、こんなご依頼を受けました。
「構造とかはどうでもいいので、とにかく安く、パッと見が綺麗に見えるようにしてください。」
正直に申し上げると、こうしたご相談は少なくありません。
ですが、当社ではこのような内容のリフォームはお断りしています。
フローリングを張り替えたり、クロスを新しくしたり、キッチンを交換したり。
表面的なリフォームは確かに目に見えて「綺麗になった」と感じやすく、見栄えも良くなります。
しかし、見た目が整っていても、
・床が沈む
・雨漏りの跡がある
・柱や土台にシロアリ被害がある
といった構造的な問題が残っていれば、入居者にとっては“住みにくい家”になってしまいます。
表面の仕上げだけを整えて貸し出すことは、結果的にトラブルを引き起こす原因になりかねません。
私たち大工がリフォームでまず行うのは、床下・天井裏・壁の内部など“見えない場所”の確認です。
・土台や柱の腐食はないか
・床の沈みや傾きは許容範囲か
・結露や雨漏りの形跡がないか
・換気や断熱の状態は適切か
こういった“裏側”の状態を把握してからでないと、本当に意味のあるリフォームはできません。
賃貸住宅としてのリフォームにおいて重要なのは、構造的な安全性と、生活に支障のない基本性能が確保されていることです。
たとえば、
・床が沈まない
・雨漏りや結露の心配がない
・水道・電気・排水などのインフラが正常に動く
・生活音や臭いの問題が最小限に抑えられている
といった条件を満たしていれば、たとえ築年数が古くても、十分に賃貸として成り立ちます。
反対に、見た目が綺麗でも「住めない」状態であれば、それは商品として成立しません。
大切なのは、「見た目」ではなく「住めるかどうか」。
そしてそれは、建築の現場に携わるプロだからこそ分かる視点です。
「とりあえず綺麗にして貸せばいい」という発想では、入居者からの信頼も得られず、安定した賃貸経営にはつながりません。
当社では、“長く住める家”をつくるためのリフォームをご提案しています。
「この物件、どこまで直せば貸せるのか?」
「どこを直せば費用対効果が高いのか?」
といったご相談も承っております。
床下や天井裏の点検を含め、“見えない部分から”のリフォーム提案を行っておりますので、安心してご依頼ください。
中古住宅のリフォームを、表面だけで判断しないために。
どうぞ、お気軽にご相談ください。