「一級建築士に頼めば安心」「設計のプロだから、使いやすい家になるはず」
多くの方がそう思って、家づくりのパートナーとして建築士を選ばれることでしょう。
けれど、実際に私が現場で見てきた数々の住宅の中には、「これは誰のための家なんだろう?」と感じるような、使い勝手や住み心地を二の次にした設計が少なくありませんでした。
私は大工として40年以上住宅建築に関わってきましたが、同時に一級建築士として設計にも携わってきました。
だからこそ見えてくる、「図面の美しさ」と「暮らしやすさ」のズレ。
今回は、現場の目線から見た一級建築士の“実態”と、施主の皆さんに伝えたい注意点をお話しします。
一級建築士の資格は、試験の難易度からしても確かに価値のあるものです。
構造や法規に関する知識を持ち、大規模な建物の設計も可能な国家資格です。
ただ、ここでひとつ知っておいていただきたいのは、「資格」と「実際に住みやすい家をつくる力」は、必ずしもイコールではないということです。
設計士の中には、個人住宅の実務経験がほとんどない人もいます。
また、現場に足を運ぶ機会が少ないまま、ひたすら図面を引くだけの仕事に慣れてしまっている人もいるのが現実です。
筆者のひとこと
建築士は確かに専門家ですが、「暮らしのプロ」ではありません。
現場に立ち、実際に家を建ててきた経験があるかどうかで、図面の中身はまるで変わります。
これは私が実際に受けたご相談です。
「建築士さんに頼んだのに、なんだか暮らしにくくて…」というご夫婦の声。
話を聞いてみると、生活動線に配慮されていない間取りや、収納が極端に少ない設計になっていました。
施主の希望よりも、自分の美学やデザインを優先してしまう建築士は意外と多く、
「ここはこうじゃないとバランスが悪いから」と施主の意見を退ける人もいます。
もちろん、設計意図があっての提案なら理解もできますが、住む人の使い勝手が置き去りにされては本末転倒です。
筆者のひとこと
設計の中には「作品づくり」になってしまっているものもあります。
本来は、住まう人の暮らしを支えるのが家の役目。そこを忘れてはいけないと強く感じます。
設計と施工の関係がうまく取れていない場合、現場ではとても困ることが多々あります。
たとえば、部材が入りづらい寸法で設計されていたり、構造的に無理な納まりがされていたり…。
図面通りに作ると、逆に仕上がりが悪くなってしまうことすらあります。
そうなると、現場では「設計通りに作るか」「暮らしやすさを優先して微調整するか」という、難しい判断を迫られます。
どちらにしても、**「設計が現場を理解していないと、住む人にしわ寄せが来る」**というのが現実です。
筆者のひとこと
私は設計図も描きますが、同時に自分でその図面通りに現場で施工もしてきました。
だからこそ、「描く人」と「つくる人」の間にあるズレを、いつも意識して埋めるようにしています。
家づくりには、「建築的な正しさ」も、「現場の実用性」も、どちらも欠かせません。
設計士が法律や構造、安全性を担保しながら、現場の声をきちんと聞き入れる。
そして、施主の生活や要望を中心に、両者がすり合わせていくことが理想です。
中には、そうした協力がうまくいって「本当に住みやすい家ができた」という事例もあります。
私自身、「大工のおっちゃん工房」として、設計と施工のどちらにも携わり、
施主の方と直接話をしながらプランを練ることで、「こうすれば良くなる」という提案を具体的にお伝えするようにしています。
筆者のひとこと
一級建築士の中にも、きちんと施主の目線に立ち、現場の声に耳を傾ける人はたくさんいます。
だからこそ、「誰に頼むか」がとても大事です。設計と現場、両方を理解してくれる人を見つけてください。
一級建築士は確かに専門知識を持ったプロフェッショナルですが、
「住みやすい家をつくる力」は、それだけでは足りないというのが、長年現場に立ってきた私の正直な実感です。
・デザイン重視で暮らしにくい間取り
・現場で施工しにくい図面
・施主の声が通りにくい関係性
こうしたすれ違いを防ぐには、設計の知識と現場経験の両方を持った人に相談することが一番の近道です。
「大工のおっちゃん工房」では、設計・施工・相談を一人で引き受けるからこそ、細かい気づきや微調整が可能です。
ご希望や暮らし方をじっくり聞きながら、一緒に形にしていくことを大切にしています。
もし「どこに頼めばいいのか迷っている」「前の設計がなんだかしっくりこない」
そんな方がいらっしゃれば、まずは気軽に話してみてください。
無理な提案や、押しつけの設計は一切しません。
本当に暮らしやすい家を、一緒につくっていきましょう。