地域と移住者をつなぐ!特産品とアンテナショップの再設計アイデアとは?

2025年03月23日 08:19
カテゴリ: 最新情報

地方における移住促進や空き家活用が進む一方で、先住者と移住者のあいだにある“心理的な壁”は依然として課題です。
特に「支援が移住者ばかりに向けられ、地元には恩恵がない」と感じる声は根強く、行政側も一方的な移住促進が難しくなってきています。

こうした状況を踏まえ、本プロジェクトでは、古民家を特産品の販促拠点=アンテナショップを備えた共創空間として再設計することを提案しています。

この記事では、地域全体への還元性を重視した「ショップ機能のある古民家」の設計と活用方法について解説し、移住者・先住者・行政がともに関わることで生まれる**“地域の循環”**を考えます。

地元の特産品を再発信する「小さな商い」の場としての古民家


古民家の一部を特産品の販売・発信拠点にすることで、地域に新しい“商いの余白”が生まれます。
その役割は、単に商品を販売することではなく、地元資源を再発見し、広く伝える場になることです。

たとえば、

  ・地元農家の野菜や手づくり味噌、加工品

  ・地域の陶芸や木工品などの工芸作品

  ・昔ながらのレシピを活かしたオリジナル商品

こうした品々を、移住者と地域住民が協働で企画・販売することで、「誰のための施設か?」という問いに対し、明確に**“地域全体のため”という答え**を提示できます。

また、無理に「商品を大量に売る」ことを目的にせず、“人が集まることで価値が伝わる”場づくりに重点を置くことが、再設計において重要な視点となります。

イートインとの融合で「食と体験」を通じた販促に


単なる物販スペースではなく、再設計された古民家にはイートインスペースを併設し、食を通じて地域資源に触れる仕掛けを施します。

たとえば、

  ・地元の農産物を使った日替わりランチ

  ・地元のおばあちゃん直伝の郷土料理体験

  ・商品化を目指す試作メニューの提供とフィードバック収集

こうした取り組みを通じて、地域内での「食の循環」と「交流」が生まれます。

食材の生産者も、販売者も、食べる人も、同じ空間に集まることで、自然な対話と評価、改善の場となり、商品開発にもつながります。

また、外から訪れた人にとっても、「商品+ストーリー」を同時に体験できる空間は、地域のブランド価値を高める場となるでしょう。

移住者と地元事業者の“共創”で信頼をつくる


アンテナショップの運営にあたっては、移住者が店頭に立つ・商品を開発する・イベントを企画するといった形で参加することが考えられます。

一方で、「移住者が何かを“やらせてもらう”」という立場ではなく、
“一緒につくる”ことが前提の関係性を築くことが、信頼と定着の鍵になります。

具体的には、

  ・地元生産者と移住者の「共催イベント」

  ・地元事業者の意見を取り入れた店舗運営ルール

  ・高齢者・主婦層・若者など、立場を問わず参加できる仕組み

といった取り組みを導入することで、“この場は自分たちのものだ”と感じられる空間が生まれます。

こうした共創型の取り組みは、特定の誰かだけに利益が集中することを防ぎ、地域住民の納得感と支援意識を高めます。

地域還元を明確にすることで、行政支援も進めやすくなる


行政が移住支援や空き家活用を推進するうえで重要なのが、「地域全体にとって意味があるかどうか」という視点です。

本プロジェクトのように、

  ・地元の特産品を扱う

  ・住民も自由に利用できる

  ・地域行事や学校とも連携できる

といった機能が備わっていれば、行政も「偏った支援ではない」として安心してサポートできる環境が整います。

特に、

  ・地域資源の流通促進

  ・地元産業との連携

  ・高齢者の社会参加

といった側面が明確になれば、補助金や地域振興策との連携も期待できるのです。

つまり、再設計された古民家は、建築空間を超えて“地域政策の受け皿”としても機能する拠点になるのです。

共感と協働でつくる“地域の店”の新しいかたち


移住者も、地元の人も、行政も、誰かが誰かの「お世話になる」のではなく、
同じ場所で、同じ方向を見て、協力しながら地域をつくる。
そんな関係性が、この古民家を拠点とするプロジェクトの理想形です。

そして、ここで大切なのは、「完成したものを利用する」のではなく、“つくるところから一緒に始める”という考え方です。

行政が音頭を取るだけではなく、

 ・地域産業

 ・関連企業

 ・商工会

 ・商店主

 ・地元の若者や職人

などにも積極的に声をかけ、町全体でひとつのイベントとして再設計・施工・運営に関わっていくことが重要です。

たとえば、壁塗りのワークショップ、木工体験、地域材を使った家具づくりなど、建築そのものを「地域の学びと交流の場」にすることもできます。

そうすることで、完成した空間は「誰かが用意したもの」ではなく、
“自分たちの手でつくりあげた大切な居場所”として愛され、守られる存在になります。

これは一時的な移住促進策でも、建築プロジェクトでもありません。
地域の未来を、地域の手で形にしていく根幹づくりそのものなのです。

次回予告:未来へつなぐ古民家再設計!地域活性と移住支援の実践へ


連載最終回では、ここまでご紹介してきた空間設計・共創の仕組みをまとめ、
建築士として提案したい**「地域と共に育つ建築のかたち」**についてお伝えします。

  ・地域と行政が一体となった仕組みづくり

  ・拠点の持続的な運営方法

  ・建築を通じた“人のつながり”の再設計とは?

ぜひ、完結編までご期待ください。

まとめ


特産品とアンテナショップを古民家に再設計することで、

  ・地域資源の発信と地元経済への還元が同時に叶う

  ・イートインと組み合わせた“食体験型の空間”が交流を生む

  ・移住者と先住者が“共に運営する”仕組みで信頼関係が育つ

  ・行政も安心して支援できる公平な地域拠点が形成される

といった、多面的な価値が創出されます。

移住政策と地域活性の“橋渡し”となるような拠点づくりを、建築の視点から提案していくことが、本プロジェクトの核です。

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