私は一級建築士として30年以上、住宅設計や都市開発に携わってきました。その中で多くの施主(住宅購入者)と関わり、戸建てとマンション、それぞれのメリット・デメリットを見てきました。住宅購入を考える際、多くの人が「どちらが資産価値を維持できるのか?」という点を重視します。
「戸建ては土地の価値があるから安心」と言う人もいれば、「マンションは立地が良ければ価値が落ちにくい」と考える人もいます。しかし、単純に「どちらが資産価値が高いか」と決めるのは難しく、多くの要素が絡み合っています。
本記事では、建築士としての視点から、住宅の資産価値を左右する要素や、これからの時代における住宅選びのポイントを解説します。これから住宅を購入する方や、資産として不動産を考えている方にとって、有益な情報となれば幸いです。
土地が資産価値を支える
戸建ての最大の強みは、「土地を所有できる」ことにあります。不動産の価値は「建物」と「土地」に分けられますが、建物は経年劣化して価値が下がる一方で、土地の価値は環境が変わらなければ維持される可能性が高いです。
都市部や人気エリアの土地は需要が高いため、たとえ建物が古くなっても土地の価値は維持されやすく、建て替えをすることで再び資産価値を向上させることが可能です。
一般的に木造住宅は築20~30年で資産価値がほぼゼロになると言われます。しかし、実際にはリフォームやリノベーションを適切に行うことで、住みやすさや機能を維持し、価値を高めることも可能です。特に、耐震補強や省エネ改修などの施策を行った住宅は、中古市場でも評価されやすくなっています。
1,立地選びが最重要
・駅から近い
・生活インフラが整っている(商業施設、医療機関、学校など)
・災害リスクが低い(洪水・地震リスクの低いエリア)
2,定期的なメンテナンス
・外壁塗装や屋根の修繕を定期的に行う
・住宅設備のアップデート(エネルギー効率の高い設備を導入)
3,将来の活用を考える
・二世帯住宅にする
・貸家やシェアハウスとして活用する
マンションの資産価値は「立地」に大きく左右されます。都市部や主要駅に近い物件は、中古市場でも高い価値を維持しやすく、築年数が経過しても買い手がつきやすい傾向にあります。
また、都市の再開発が進めば、周辺の利便性が向上し、資産価値が上昇するケースもあります。たとえば、駅前の再開発や商業施設の新設によって、築年数が経っても価格が上昇するマンションもあります。
マンションは共用部分の管理がしっかりしているかどうかが、資産価値に直結します。管理が行き届いたマンションは建物の老朽化が緩やかになり、修繕が適切に行われることで価値を維持できます。
逆に、管理費や修繕積立金が適切に運営されていないと、建物の老朽化が進み、資産価値が急激に下がるリスクがあります。
1,管理のしっかりした物件を選ぶ
・修繕積立金が適切に運用されているか確認
・共用部分の清掃・メンテナンスが行き届いているか
2,築年数よりも立地を優先
・駅近や商業施設の充実度を重視
・再開発の予定があるエリアをチェック
3,住み続けられる環境か確認
・耐震基準を満たしているか
・住民の高齢化が進んでいないか
日本の住宅市場は、少子高齢化の影響を受けています。新築住宅の需要は減少し、中古住宅の価値が見直される時代に入っています。そのため、「資産価値を維持できる住宅選び」がますます重要になってきます。
日本では、これまで「新築至上主義」が根強く、中古住宅の価値が低く評価されがちでした。しかし、欧米のように「質の高い中古住宅が適正な価格で取引される市場」が形成されつつあります。
特に、耐震性や省エネ性能を向上させたリノベーション住宅は、中古市場でも高い評価を得るようになっています。
これからの住宅市場では、単に「新築だから価値が高い」という時代ではなくなります。
・立地の良さ
・建物のメンテナンス状況
・再開発やインフラ整備の計画
これらを総合的に考え、価値の下がりにくい住宅を選ぶことが重要です。
結局のところ、資産価値の高い住宅とは、「立地」「建物の管理」「将来の市場動向」をしっかり考えた上で選ばれるものです。
・戸建ては「土地の価値」を重視し、適切なメンテナンスを行うことが重要
・マンションは「立地」と「管理の良さ」を最優先し、長期的な視点で選ぶことが大切
日本の住宅市場は、中古住宅の価値が向上する時代へ。新築だけでなく、リノベーション物件も選択肢に入れるべき
住宅は単なる「住まい」ではなく、大切な「資産」です。購入を検討する際には、目先の価格だけでなく、長期的な価値を見極める目を持つことが重要です。